東日本大震災3回忌・岩手県慰霊法要


秋田県曹洞宗青年会では岩手県曹洞宗青年会の呼びかけに応じ、3月10日、11日に岩手県内複数の寺院で行われた慰霊法要に参加し、また慰霊行脚をおこなった。

3月10日

大槌町吉里吉里 吉祥寺・慰霊法要
午後1時打出
本尊上供 引き続き 大祥忌
導師 吉祥寺様
献湯師、会長 久米弘道師
献茶師、北海道崇賢寺 松樹恒史師
秋曹青は両班随喜

大槌町吉里吉里の吉祥寺に於いて東日本大震災大祥忌法要が厳粛に営まれた。
当日、県内から早朝に出発し、昼前に吉祥寺様に到着。現地で強風警報が発令され、全ての交通が止まり、現地へ来ることがままならぬ状況の中で秋田県からは8名が随喜。北海道、千葉、岩手からもそれぞれ集まり、計20名随喜となった。
吉祥寺護持会長の式辞より、復興に向けて頑張ろうとする気持ちがとても心に響いた。法要後、吉祥寺ご住職より、参列された方々に塔婆を一本一本、お渡しされた。

浪板海岸・さんずろ家に宿泊。

3月11日

大槌町・江岸寺
午前9時頃 赤浜海岸にて法要(梵鐘撞き初め)
午前10時 JR大槌駅前にて法要(梵鐘撞き初め)
午前11時 江岸寺にて法要(梵鐘設置)

江岸寺では奈良県の薬師寺、加藤朝胤執事長の支援などにより、この日にあわせて梵鐘を新調した。
以前の梵鐘は大槌の鐘として地域の人に親しまれてきたが、震災の津波とその後の火災により被災し、溶けた姿で現在もお寺にある。
現在も寄せられている鐘への寄付金は、今後の鐘楼堂建築に充てられるという。

青空快晴。穏やかな波の、驚くほど綺麗な海。しかし凍てつくような風が2年前の厳しさを想像させる。
午前9時に赤浜海岸では、久米会長を導師に秋田曹青、全曹青など僧侶30名程が海に向かって読経。
トラックの荷台に据え付けられた梵鐘を江岸寺住職の大萱生良寛老師が撞いた。慰霊の般若心経と鐘の音が浜の強風に運ばれた。
その後、トラックはゆっくりとかつての街中を巡り、ホームのみ残るJR大槌駅前でも慰霊法要、撞き初め。どちらの場所も立っているのがやっとの強風の中でのお勤めとなったが、鐘の音は風に乗り、遠く彼岸まで届くようだった。その後、江岸寺に到着、梵鐘を下ろした。

午前11時の慰霊法要では500人程が参列。亡くなった方の戒名が読み上げられ、焼香の後、参列者全員が梵鐘を撞いた。
江岸寺ご住職「今回の鐘は、少しこもったとてもいい音がする。この大槌町に鐘の音が戻った事に大きな意味がある。江岸寺の鐘というだけではなく、地域のシンボルとして響き渡る、地域の鐘だ。鐘の音の感じ方は人それぞれ違うだろう。私は今はなくなった人の事を思って撞かせていただいたが、人それぞれの想いで撞いてほしい。鎮魂の鐘がいつか希望の鐘になるといい」
梵鐘には「愛別離苦」「慈愛」「梵鐘の音に想いをのせて」などと彫られている。

法要後、ご用意していただいた昼食をいただき、山田町・龍泉寺様と大槌町・慰霊行脚に分かれ出発。

午後1時、大槌町旧役場跡にて法要、安渡へ慰霊行脚
午後2時46分、安渡にて法要

大槌町長のご挨拶、岩手県内では約1200人が未だ行方不明であり、その半数近くが大槌の方々がであるとのこと。その後、安渡海岸(旧魚市場)まで 行脚。寒風吹き荒れる中、わざわざ車から降りて合掌下さる方や、海岸で参列される方々に出迎えて頂いた。海岸での法要後、穏やかな海を眺めている参列者のお姿が深く心に残った。

■山田町・龍泉寺
午後2時46分より法要

龍泉寺様には秋曹青の他に岩曹青、岩曹OB、栃木の有志、約30名の僧侶が集まり、2時46分の黙祷の後、施食会を厳修した。お一人お一人のお戒名と俗名を丁寧にお読みになるご導師の声に、立ち込める焼香の煙に、悲しみをあらたにし、その中にも復興を誓うご遺族の力強い思いを感じた。また、法要後の「辛くなったらお寺に来て下さい」の龍泉寺ご住職のお言葉に、お寺の精神的役割を再確認させられた。

ご遺族お帰りの際は、阪神から能登へ贈られ復興を見届けたヒマワリの種が、今度は東日本の復興を願い配られ、11教区岩舘裕章師お供えの大福とともにお持ち帰りいただいた。

すっかり天気も回復し、穏やかな山田湾を左手に、七回忌までにはどれほどの復興を遂げるだろうとの思いを巡らせての帰宅の途となった。

報告者:久米弘道 佐々木雅也 中村尚信 二坂佳邦 山田俊哉